アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、慢性的な皮膚の炎症を伴う疾患で、特に小児に多く見られますが、成人にも発症することがあります。遺伝的要素に加え、環境的な要因が影響して発症すると考えられています。主な症状には、強いかゆみを伴う発疹があります。

治療

外用薬

ステロイド軟膏や保湿剤を使用します。

内服薬

必要に応じて抗ヒスタミン薬や免疫調節薬を処方します。

生活習慣の改善

ストレス管理、食生活の改善、適切なスキンケアなどを指導します。

アトピー性皮膚炎の治療薬

コレクチム軟膏

コレクチムは、炎症に関与するJAK(ヤヌスキナーゼ)という酵素の働きをブロックすることで、アトピー性皮膚炎の炎症やかゆみを抑える非ステロイド性の外用薬です。従来のステロイド外用薬やタクロリムス(プロトピック)とは異なる作用機序を持ち、副作用が少ない治療法として評価されています。

モイゼルト軟膏

モイゼルト軟膏はPDE4を選択的に阻害することで炎症性サイトカインなどの化学伝達物質の産生を抑制し抗炎症作用を発揮する、アトピー性皮膚炎の治療薬です。
日本初となるホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤の外用薬として2021年9月に承認されたお薬です。
ステロイドの維持期に置き換えて使うことで、ステロイドの使用を減らせる可能性があると考えられます。

ブイタマークリーム

ブイタマークリームは皮膚の過剰な免疫反応を抑えることで、皮膚の炎症をしずめてアトピー性皮膚炎・尋常性乾癬の皮膚症状を改善します。
ブイタマーは、従来からあるステロイド外用薬や免疫抑制外用薬、JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬などとは異なる作用を持つ薬剤です。
重篤な副作用は報告されておらず、その他の副作用も他剤に比べて多いわけではありません。
また、長期使用における安全性が臨床試験で確認されていることなどから、アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬の治療における新たな選択肢として注目されています。

デュピクセントによる治療

当院では、中等症以上のアトピー性皮膚炎の患者様に対して、「デュピクセント®(注射薬)」の治療を提供しています。
しかしどの方でも、デュピクセントでの治療ができる訳ではありません。医師による診断と条件を満たす必要があります。

投与できる方

  • 今までの治療法で十分な効果が得られない成人アトピー性皮膚炎の方
  • 6ヶ月以上ステロイド外用剤を使用したことがある、もしくは副作用で使用できない方
  • 生後6ヶ月以上の方

投与できない方

含まれる成分に対して、アレルギー反応を起こしたことのある方

治療スケジュール

デュピクセントは投与開始日のみ、2本を皮下注射します。その後は2週間に1回、1本を皮下注射します。
初めは、当院で注射を打ちますが、医師の判断の下、患者さんご自身が行う「自己注射」も可能です。
自己注射を行うことで、通院にともなう時間的な制約や負担が軽減でき、ご自身のスタイルに合わせた治療ができます。